「MM9」 山本 弘2010年07月20日

「エムエムナイン」と読む。
モンスター・マグニチュード・ナインである。
これが何かというと、怪獣の体重による脅威度?を表す指標である。
怪獣の脅威を地震という自然災害のアナロジーで表しているのは、日本における怪獣担当部署が気象庁だからである。
その名も「気象庁特異生物対策部」。略称は「気特対」である。
日本国内で怪獣が出現する度に、気特対の面々が怪獣の特性を分析して方針を決定する。その決定を受けて自衛隊が攻撃をする。役所の意志決定プロセスが妙にリアルである。

本書は、怪獣モノのお約束を守った上で、ちゃんと本格SFの文法を守っている。
つまり、怪獣らしい属性(巨大、とか)を持った生き物を登場させて、その怪獣の存在を現在の科学では否定できないリクツで説明している。
ただ、怪獣と妖怪の違いは体重だけ、って話にはぶっ飛んだけど。

ちなみに、7月7日からTVドラマ化され放送されているらしい。文庫の帯(いわゆる腰巻きですね)に「連続TVドラマ化」と書いてあるが、その下に小さな、薄い文字で「原作とドラマでは内容が異なる場合がございます。」とあるのには笑っちゃいました。

 著者は、妙ちきりんな本を笑って楽しむ、あの「と学会」の会長である。
(創元SF文庫 2010年6月25日 860円+税)
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