「つくもがみ貸します」 畠中 恵2010年06月28日 06時02分

つくもがみ貸します表紙
記念すべき1冊目です。
お紅と清次の姉弟が営む、古道具屋兼損料屋(レンタル業ですな)「出雲屋」では、年を経て妖怪となったモノたちが今日も噂話に夢中。そんな出雲屋に起きる騒動は・・・。

虚弱体質の若旦那とその保護者(?)である妖怪たちが活躍する「しゃばけ」シリーズでお馴染みの著者による妖怪モノです。
著者の本は、内容ノーチェックで買う(文庫になってからだけど)し、本書もハズレじゃない、ある意味期待通りの内容です。ただ、あまりに期待通りと言うか、お約束通りというか、読んで気持ちが揺すぶられる所がないのね。登場人物(妖怪も含めて)が記号的役割というか属性で動いている感じが強いんだよね。
主人公(かな)の清次の仕事ぶりをもうちょっと書き込むとリアリティーとともに個性も際だつんじゃないかしら。「アコギなのかリッパなのか」の聖クンの仕事ぶりの記述はうまかったと思うんだけど。
なんやかんや書きましたけど、読み終わるまで心地よい時間を提供してくれる本です。シリーズがもっと進めばキャラの厚みも増して、本書の読み方も(さかのぼって)変わるんじゃないかと思います。

「絶滅危惧駅舎」 杉﨑 行恭2010年06月30日 02時08分

私は鉄ちゃんではない。
由緒正しい飛行少年なので、ガタゴトと地面を走る乗り物には興味がない。
ただ、寄る年波からか、最近、古いモノに興味が湧いてきて文化遺産的な建物など見つけると嬉しくなってしまうのである。
そういう観点からは駅舎という存在は興味深い。東京駅、とまではいかないが結構古い建物が現役で活躍している。
で、本書である。
文庫版の写真集である。目次を並べると
 ・明治の駅舎
 ・モダニズムの駅舎
 ・神社仏閣駅舎
 ・王道の洋館駅舎
 ・石とコンクリートの駅舎
 ・山小屋形駅舎
 ・ビルのような木造駅舎
 ・嗚呼、国鉄建築の駅舎
 ・しみじみニッポンの駅舎
 ・廃線跡になお残る駅舎
やっぱり、明治・大正・昭和初期の建物は良い。戦後すぐのも良い。頑張ってモダンしているのである。
しかし、これらの駅舎も、一部を除いて取り壊されそうな運命である。実用性を考えると仕方ないかも知れないが、古いモノが無くなるのはやっぱり寂しい。
やっぱり年だなあ。
      (二見文庫 2010年6月30日発行 762円+税)
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