「写真で読む昭和史 占領下の日本」 水島 吉隆2011年02月06日 01時33分

敗戦後、連合軍による占領期の日本の出来事を写真とともに記述している。

厚木飛行場のマッカーサー到着から連合軍による占領。GHQに接収された建物のリストとその写真、軍国主義者の公職追放、東京裁判と被告たち、闇市、DDTによる消毒、ゼネスト、ララ物資。
やがて冷戦となり、レッドパージ、公職追放の解除、警察予備隊の創設、朝鮮戦争。
庶民の暮らし、子供たちの表情、その時代の雰囲気をも描き出す記述。

忘れちゃいけないんだと思う。日本人全員が知っているべきだと思う。 もう一度言う。必読書である。

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「沈没船が教える世界史」 ランドール・ササキ2011年02月19日 00時13分

「水中考古学」
よく分からないながらワクワクする響きではないか。

なんか、世界中の海から沈没船を探して、うまく行けば貴重なお宝ゲット!みたいな。○○山の埋蔵金探しって言うと反射的に眉唾って思っちゃうけど、大量の金貨を積んだ沈没船探し、だと信じちゃうもんなあ。

でも、本書を読むと、フィールドが水中なだけで、陸上の考古学と同じく地道で気の長い話だということが良く分かる。遺物を見つけて引き上げちゃう、なんて下の下。沈没船を発見したら、その地域をグリッドに分けて、丁寧に遺物を回収していく。同じ品物でも、船のどの部分で発見されたかで意味が違ってくる。
遺物は保存処理をしなければならない。まず、海中で吸収された塩分を洗い流す。1982年に引き上げられたイギリスの軍艦は2010年現在、まだ脱塩処理を受けている。

著者は、沈没船はタイムカプセルだと言う。地上の遺跡と違って、沈んだ時点の生活が封印されているからだ。
沈没船の調査によって、これからどんなことが明らかになってくるか。でも、個人的には、学問的成果より、金貨がザクザク出てくる方が興味があったりしますけど・・・。

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