あけましておめでとうございます。2014年01月02日 01時06分

本年もよろしくお願いします。

もう、年間ベストで良いのだ!と開き直りつつある現状です(^_^)

昨年は、「居場所を探して―累犯障害者たち」(長崎新聞社)から「神様の御用人」(浅羽なつ)まで153冊を読了しました。

昨年1年間のベストですが、「ぼくは猟師になった」(千松 信也/新潮文庫)です。
「フェルマーの最終定理」(サイモン・シン/新潮文庫)と「罪を犯した人を排除しないイタリアの挑戦」(浜井 浩一)の三冊で迷いました。

面白さでは「フェルマーの最終定理」。数学史上の事件を描いていますが、数学が全く分からなくても(^_^;)ドラマとしてグイグイ読ませる筆力! でも出たのが随分前なのと、読書会で薦められて読んだので悔しいから次点。
浜井先生の本は、光文社新書で出ている「2円で刑務所、5億で執行猶予」とともに超お薦め。
イタリアの刑務所は囚人も職員も制服がないので区別がつかない、とか開放的処遇と教育プログラムで社会復帰を目指すなど、現地での取材を元にしっかり描き込まれています。なにより、著者の視点として、犯罪者の処遇も科学的根拠を元に検討されなくてはならないという点が一貫しています。
この辺り、日本の矯正分野だけでなく、教育や福祉分野も猛省しなくちゃいけないと思います。「効果があった」という自分の感覚で仕事をしちゃいけない、ということね。

長々と対抗馬について語りましたが、「ぼくは猟師になった」です。
猟と云っても鉄砲じゃなくてワナね。著者は、猟師と兼務できる仕事を選び、猟に都合の良い所に住み、兼業猟師?として日々を送っている人。自宅の裏山にワナを仕掛け、猪や鹿を獲る。獲ったケモノはすぐ解体して保存してみんなで喰う。ワナの仕掛け方や殺し方、解体の留意事項などを具体的に書いていく。解体についてはていねいに写真付きで解説する。これは「肉を喰う」とはこういうことだ、と云うことを忘れちゃいけないという著者の主張である。京都の自然を背景に、季節ごとの営みが淡々と描かれ、一つの人生論になっていると思う。

最近の収穫としては、SF関係の復刻?本。
笹本 祐一の「妖精作戦」4巻に続き「星のパイロット」全3巻も完結、f復刊されたおかげで、名作が読める。超面白い。古くない。笹本さん、こういうSFファンど真ん中の本、もっと書いてください。
それから野尻抱介の「女子高生、リフトオフ」も復刊。楽しい楽しい(^o^)
日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー「日本SF短篇50」全5巻が一挙刊行。星雲賞短編SF傑作選「てのひらの宇宙」も刊行。過去の名作が手軽に読める、幸せな時代になったもんだ。

ちょっとびっくりしたのは、以前紹介した「ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり」が文庫になりコミックス化もされたこと。面白いとは思ったけど、一部マニア向け、と思った私が甘かった?

本年もよろしくお願いします。

「ぼくは猟師になった」 アマゾンへのリンク
「フェルマーの最終定理」 アマゾンへのリンク
「罪を犯した人を排除しないイタリアの挑戦」 アマゾンへのリンク
「2円で刑務所、5億で執行猶予」 アマゾンへのリンク
「星のパイロット1」 アマゾンへのリンク
「彗星狩り(上) 星のパイロット 2」 アマゾンへのリンク
「彗星狩り(下) 星のパイロット2」 アマゾンへのリンク
「ハイ・フロンティア/ブルー・プラネット 星のパイロット3」 アマゾンへのリンク
「女子高生、リフトオフ!」 アマゾンへのリンク
「日本SF短篇50 I」 アマゾンへのリンク
「日本SF短篇50 II」 アマゾンへのリンク
「日本SF短篇50 III」 アマゾンへのリンク
「日本SF短篇50 IV」 アマゾンへのリンク
「日本SF短篇50 V」 アマゾンへのリンク
「てのひらの宇宙」 アマゾンへのリンク

あけましておめでとうございます。2013年01月01日 00時07分

本年もよろしくお願いします。

もはや年刊ベストを発表するだけのブログとなりつつあります(^_^)

昨年は、「失踪入門 人生はやりなおせる!」(吾妻ひでお)から「宇宙軍士官学校-前哨(スカウト)-2」まで146冊を読了しました。

昨年1年間のベストですが、「舟を編む」(三浦しをん)です。
ベストセラーなので紹介するまでもありませんが、辞書を作る話です。なんと言いましょうか、活字好きのココロにど真ん中ストライクで、狙って取れる本屋大賞という本です。
もし、あなたの寿命があと半年と言われたらどうしますか?この本の登場人物だったら「もっと全力で辞書を作る」と答えるに違いありません。ああ、なんでこの手の話に弱いんだ、自分。

冊数で多かったのは、米澤穂信の本を集中して読みました。「氷菓」から始まる一連のシリーズでブレイクしましたが、軽い謎解きって、トレンドなんでしょうか。
拾いモノ?だったのは上田早夕里「ラ・パティスリー」に始まる菓子店・ケーキ屋を舞台にしたシリーズ。がっつり系のSFの人だと思っていましたが、こういう話も面白いです。うまいです。
拾いモノと言えば、押井守「ゾンビ日記」。 「攻殻機動隊」などのアニメで有名な映像の人ですが、これは・・・異色と言いますか、ひょっとすると歴史に残る名作かも知れません(評価の分かれる作品とは思いますが)。
狙撃と銃のウンチクと、ゾンビは死んでいる存在なのかという考察が延々と続きます。おかげで狙撃に関する本も何冊か読みました。
「銃の科学 知られざるファイア・アームズの秘密」(ソフトバンククリエイティブ)、「狙撃手列伝」(原書房)
どっちも面白いです。物事はすべからく細かな事実の積み重ねで理解すべし、と思っている私としては、ウンチク話こそ真実に至る道だと思っております。

最後に、SF関係の歴史本。
「戦後SF事件史---日本的想像力」(河出ブックス・長山 靖生)、「近代日本奇想小説史 入門篇」(ピラールプレス・横田 順彌)、それから「日本SF・幼年期の終り―『世界SF全集』月報より」(早川書房)。
物事はすべからく歴史的に理解すべし、と思っている私としては、SFも過去からの流れで考えた方が理解が深まる訳ですね。

今年はどのくらい更新できますことやら(^_^;)
本年もよろしくお願いします。

「舟を編む」(光文社)アマゾンへのリンク
「ラ・パティスリー」(ハルキ文庫)アマゾンへのリンク
「ゾンビ日記」(角川春樹事務所)アマゾンへのリンク
「銃の科学」(ソフトバンククリエイティブ)アマゾンへのリンク
「狙撃手列伝」(原書房)アマゾンへのリンク
「戦後SF事件史---日本的想像力」(河出ブックス)アマゾンへのリンク
「近代日本奇想小説史 入門篇」(ピラールプレス)アマゾンへのリンク
「日本SF・幼年期の終り―『世界SF全集』月報より」(早川書房)アマゾンへのリンク

「完全なる首長竜の日」 乾 緑郎2012年01月30日 00時00分

第9回「このミステリーがすごい」大賞受賞作。
昏睡状態の患者とコミュニケートできる技術により、主人公が入院中の弟の意識の中に入り込む。そこでは、普通に生活し弟と会話を交わすことができる。

げっ!
名作じゃん。才能のある人っているもんだな。
元々劇作家だそうだから素人ではないにしろ、これはすごい。
筆力っていうんだろうか。だんだん足下が揺らいでくるような不安定感、それと場面場面で浮かび上がってくるイメージ。
あとね、些細なことかも知れないけど、専門用語の使い方が正しいのが嬉しい。

(宝島社文庫 2012年1月27日発行 562円+税)アマゾンへのリンク

「地図と愉しむ東京歴史散歩」 竹内 正浩2012年01月04日 02時00分

はっきり言って類書は多い。
昔の地図と現在の地図の比較、古写真と同じ場所で撮った現在の写真との比較、など豊富に出版されている。
本書がそれらの本とどう違うのか。中々に微妙で明確に言い難い。無理して整理してみると、以下の点か。

・文章と地図、写真の割合が絶妙である。
・文章の中のウンチクが楽しい。
・昔の地図と現在の地図の大きさ、方向等がぴったり一致している。

実は最後の、地図がぴったり、というのが大きい。両方の地図を見比べながら、何が変わって何が変わっていないか、変わった所はなぜ変わったのかを確かめられる。現在の道路が昔の小さな道路だったり水路の後だったり、海岸線だったり・・・。

荒川は明治期に作られた人工河川、と言われてもピンと来ないが、全く同じ場所の地図を並べて、今の荒川の場所に田畑、住宅地、鉄道まであったのを見ると愕然としてしまう。

地図をじっくり見ていると色々と発見があり、普通の本の3倍は楽しめます。2011年のベストです。お薦め。

(2011年9月25日発行 中公新書 940円+税) アマゾンへのリンク

あけましておめでとうございます2012年01月01日 00時00分

本年もよろしくお願いします。
昨年後半は見事に更新をサボっており、何人かの方からお叱りをうけました。この場を借りまして、お詫び申し上げます。
だって書くより読む方が楽しいんだもん(^_^;)

昨年は、「ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 3」から「宇宙のダークエネルギー『未知なる力』の謎を解く」まで156冊を読了しました。

昨年1年間のベストですが、「地図と愉しむ東京歴史散歩」(中公新書)です。
紹介していない本なので、申し訳ありません。昔の地図と今の地図を比較する本はたくさんあるのですが、本書はひと味違う、お薦めです。そのうち御紹介します。

昨年は、科学モノに収穫が多い年でした。
「『余剰次元』と逆二乗則の破れ」(講談社ブルーバックス)
「巨大翼竜は飛べたのか スケールと行動の動物学」(平凡社新書)
「ハチはなぜ大量死したのか」(文春文庫)
「宇宙のダークエネルギー 『未知なる力』の謎を解く」(光文社新書)
どれもみな、思っても見なかった驚きを与えてくれます。特に「ハチ~」は目からウロコ、はじめて環境問題が少し分かった気がします。

小説では、
「天地明察」冲方 丁(角川書店)
ライトノベル出身のSF作家である著者が、がらりと作風を変えて時代モノに挑戦。

「あなたのための物語」長谷 敏司(ハヤカワ文庫)
題名から想像するのと全く違う、全編、死の匂いの漂う暗~い話。
伊藤 計劃の作品が無ければ、この小説もなかったろうなぁ、と改めて伊藤 計劃の影響の大きさを感じます。

今年は(できるだけ)頑張って更新しますのでよろしくお願いします。

「地図と愉しむ東京歴史散歩」(中公新書)アマゾンへのリンク
「『余剰次元』と逆二乗則の破れ」(講談社ブルーバックス)アマゾンへのリンク
「巨大翼竜は飛べたのか スケールと行動の動物学」(平凡社新書)アマゾンへのリンク
「ハチはなぜ大量死したのか」(文春文庫)アマゾンへのリンク
「宇宙のダークエネルギー 『未知なる力』の謎を解く」(光文社新書)アマゾンへのリンク
「天地明察」(角川書店)アマゾンへのリンク
「あなたのための物語」(ハヤカワ文庫)アマゾンへのリンク
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