「地図と愉しむ東京歴史散歩」 竹内 正浩2012年01月04日 02時00分

はっきり言って類書は多い。
昔の地図と現在の地図の比較、古写真と同じ場所で撮った現在の写真との比較、など豊富に出版されている。
本書がそれらの本とどう違うのか。中々に微妙で明確に言い難い。無理して整理してみると、以下の点か。

・文章と地図、写真の割合が絶妙である。
・文章の中のウンチクが楽しい。
・昔の地図と現在の地図の大きさ、方向等がぴったり一致している。

実は最後の、地図がぴったり、というのが大きい。両方の地図を見比べながら、何が変わって何が変わっていないか、変わった所はなぜ変わったのかを確かめられる。現在の道路が昔の小さな道路だったり水路の後だったり、海岸線だったり・・・。

荒川は明治期に作られた人工河川、と言われてもピンと来ないが、全く同じ場所の地図を並べて、今の荒川の場所に田畑、住宅地、鉄道まであったのを見ると愕然としてしまう。

地図をじっくり見ていると色々と発見があり、普通の本の3倍は楽しめます。2011年のベストです。お薦め。

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