「愛と友情のボストン―そして、その後の十年…。」 山崎 泰広2011年01月04日 01時18分

だいぶ古い本だが紹介したい。

著者は中学校を卒業後にアメリカの高校に入学する。その高校で窓から転落し、下半身が麻痺してしまう。普通だったら帰国して治療・リハビリに励むところだろうが、著者はそのままアメリカでリハビリを受け復学、ボストンカレッジに進学する。帰国後、アメリカと日本のギャップに驚き、クイッキー社の車いすの輸入販売等を行うアクセス・インターナショナルを立ち上げる。

日本だと「障害受容」とか言って、結局、受障前の生活をあきらめさせてしまう考え方が多かったと思う(個人的反省)。
著者は、たまたま日本の病院で一人の青年の障害告知の場面に接して驚く。医師は、これからできないことは山ほど言ったのに、これから出来ることは何も言わなかった。自分はアメリカの病院で、「君は何も変わっていない。やり方を変えれば良いだけ。」と言われたのに。

こう書いておいてナンだけれど、本書は障害や障害者についての本ではない。山崎青年が留学中やその後に、色々な人と出会い、関わっていく記録である。別に障害者分野に特有の話じゃない。障害をきっかけにした出会いはたくさんあるが、要は、いかに出会い、いかに関わったか、である。そこには、著者が人と出会うことを喜び、人生をエンジョイしている姿が生き生きと描かれている。

それにしても、ここまで前向きな人っているのかねえ。きっと御本人は「やりたいことをやってきただけだよ」って言うんだろうけど。乙武さんの「五体不満足」を読んだときにも感じたけど、御両親の影響って大きいんだろうなあ。「この親にしてこの子あり」っていうけど、この本を読んでもホントにそんな感じがする。

最後にまた、障害に関する話をする。
まだ障害者スポーツがマイナーだった1995年(今でもそうだけど)、ふと立ち寄ったコンビニで「アクティブジャパン」という雑誌を見つけた。障害者スポーツの専門誌で、発行はメディアワークス、発売は主婦の友社だった。写真がきれいで本当にカッコ良かった。この雑誌の編集長が山崎さんだった。
本当にパワフルな人ですね。

(文京書房 1996年12月10日発行)
※現在は「愛と友情のボストン―車いすから起こす新しい風」として新版が発売
(藤原書店 2008年6月30日発行 1900円+税) アマゾンへのリンク

障害児がシーティングでいかに変わるかについて「運命じゃない」という著書もあります。
(藤原書店 2008年5月30日発行 1800円+税) アマゾンへのリンク

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