「先生、カエルが脱皮してその皮を食べています!」他 小林 朋道2010年10月18日 01時17分

鳥取環境大学の小林先生のシリーズである。

前回「シマリス」で書いたように、残りの3冊を一気に買って一気に読みました。

「先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!」
「先生、カエルが脱皮してその皮を食べています!」
「先生、子リスたちがイタチを攻撃しています!」

さすがに4冊をまとめ読みするとマンネリ、という気がしなくもないけれど、どれもみな楽しく読めました。
「シマリス」と同様、小林先生は、興味の赴くままに野山を駆けめぐり、動物たちと触れ合い、実験し、考察します。
想像したとおり、色々と大学の雑事などに悩まされているようですが、それらにも負けず、センスオブワンダーに導かれて、動物の行動を明らかにしていきます。

生後10日ほどで、まだ目も開かないシマリスの子どもが、どうやって捕食者であるイタチを撃退するのか?
ヒミズ(モグラの一種)を丸呑みにしたまま死んでいたジムグリ(ヘビの一種)の体に開いていた穴の原因は?
湖の中の無人島に、なぜ牝鹿が1頭で暮らしているのか?

答えのある質問もあれば、わからない質問もあります。大切なのは、可能な限り事実を集めて、しっかり考えることだと思います。

動物の行動を人間の言葉で説明する、いわゆる擬人化による解釈は、学問の世界では避けるべきだとされています。
しかし、先生は、場合によってはタブーを恐れず、動物に感情があるかのように説明します。
これは、先生が人間の行動も動物行動学の原理で説明しようとすることと表裏の関係にあるのだと思います。例えば、火事や事故の現場「ヤジ馬」が集まるのは、動物が捕食者から一定の距離を置いて警戒的な動作や発声をする「モビング」の一種ではないかと考えます。

面白くためになる、読んで損のない本です。
全部、とは言いませんが、どれか一冊読んでみてはいかが?

あと、想像ですけど小林先生は、きっとアイザック・アシモフの科学エッセイのファンだと思うなぁ。絶対だよ。

「先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!」
(築地書館 2007年3月23日発行 1,600円+税) アマゾンへのリンク
「先生、カエルが脱皮してその皮を食べています!」
(築地書館 2010年4月25日発行 1,600円+税) アマゾンへのリンク!
「先生、子リスたちがイタチを攻撃しています!」
(築地書館 2009年7月15日発行 1,600円+税) アマゾンへのリンク
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