「おれのおばさん」 佐川 光晴2010年07月09日 07時16分

父が会社の金に手を付けて愛人に貢いだことが発覚し逮捕。
主人公は、せっかく入った名門中学は退学し、家を売って北海道に住む伯母が経営する児童養護施設に暮らすことになる。

全然暗くない。
いろんな人がいて、いろんな事が起こり、みんなこうやって生きていくんだなあ、って納得。中学3年の主人公の視点で語られているが、中学生らしい揺れもなければ思いこみも無い。どっちかって言うと三人称の記述に近い。
ワタクシ的に嬉しいのは根っからの悪人は出てこないし、取り返しのつかない悲劇も起こらないこと。それから、人は変われるってこと。
中学生が変わるのは当たり前だけれど、大人も変われるんだって思わせてくれるんだ。それぞれの環境や出来事に応じて。

全体に淡々とした描写の中に、しっかりと読み応えのあるストーリーが展開されていきます。
養護施設の子どもたちは高校に進学しなければ退所しなければならない、とか豚の解体場面とか、ずいぶん調べたんだろうなあ。
おすすめです。

(集英社 2010年6月10日発行 1200円+税)

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